酢。
2003/09/18

 
 中国の人々は
 日本の三倍、
 お酢を食べている。

 ほう。
 それで?
 中国人は、日本人の三倍長生きだとか、素もぐりで三倍長くもぐれるとか、穴掘りが得意だとか、飛べるとか、そんなんだったら飲みますよ、酢。喜んで一気飲みですよ。
 酢を飲んでいるから、中国人はどうだと言うのだ。何なんだ。このキャッチコピーは何が言いたいんだ。

 ロシヤ人は、日本人の10倍ウォッカを飲むぞ。
 アメリカ人は、日本人の5倍コーラを飲むぞ。
 長野県人は、蜂の子を食べる。
 イタリア人は、スパゲティーをモリモリ食べる。
 タイ人に至っては、トムヤムクンだぞ。

 だから、どうなの?
 どうなの、どうなの、どうなの、どうなの。

  **********

 ベイビーとワイフが我が家に戻ってきてからと言うもの、忙しすぎる毎日です。予想通りの展開です。テキストの更新とメルマガ発行で、手一杯で、掲示板への書き込みも、サイトの更新もなかなか出来ないですが、よろしく頼む。

 現在「日齢普及委員会の名簿更新」「私の勘違い」「奇」なり。いずれも更新が遅れています。許せっ。
 

 

理由。
2003/09/15

 
 ベイビーちゃんと愛するワイフちゃん。
 やっと帰って来てくださったのですね。
 ベイビーゃんと、ワイフちゃんがいない間、そりゃもう寂しかったですとも。

 植木に水をやるのを忘れて枯らしてしまったのも、
 ゴミの日にゴミ出ししないで貯めてしまったことも、
 洗濯物てんこ盛りなのも、
 冷蔵庫が空っぽなのも、
 家の中が妙に臭いのも、

 寂しさのあまり脳内メモリがオバーロードしていたせいです。決して怠けていた訳ではございません。断じてダラダラしていたせいではございません。病気の子猫ちゃんのように膝を抱えて、涙をこらえながら、寂しい気持ちと闘っていたのです。

 う、嘘はついてません。
 ゆ、許してくださいお代官様っ。
 

 

風物詩。
2003/09/09

 
 窓から入り込む、涼しげな秋の虫の音。

 はて。
 虫の声そのものが涼しげなのか、夏の暑さも和らいだこの季節にいつも聞こえるから、パブロフの犬みたく涼しさを感じるのか。
 一体どっちなんだ。

 いとうけんじ、後の説を支持します。パブロフ派です。
 秋の夜長、毎年ウシガエルが鳴いていれば、人はウシガエルの声に過ぎ行く季節の哀愁を感じるに違いない。クリスマスシーズンの山下達郎と一緒だ。毎年同じ時期に同じサウンドを聞くうちに、サウンドから季節を感じるようになっているだけなのだと思う。

 ならば。
 秋の夜長に、毎晩、いとうけんじが夜通し雄たけびはを上げれば、いずれ、いとうけんじの雄たけびは、秋の風物詩となるに違いない。

 あら、いとうけんじの雄たけびが聞こえるわよ。
 そうだね、もうそんな季節なんだね。
 そろそろ、風鈴しまいましょうか。
 いゃ、何だか寂しいから、もう少し出しておこうよ。

 いやはや。なかなか風流ではないか。
 さて、早速今晩から始めますかな。雄たけび。

 ウーリャリャリャ。オリャ、オリャ、オリャ。

 秋の夜長にこだまする、いとうけんじの雄たけび。いやはや、なかなか風流ですな。
 

 

イトウ。
2003/09/08

 
 日本最大の淡水魚。イトウ。その生態は今だ解明されていないことが多く、幻の巨大魚と言われている。

 ふむ。
 俺と一緒じゃん。
 俺は、いとうけんじ。何か親近感が湧くなぁ。

 それにしても、魚でよかったよ。これがもし、ゴキブリだったら。
 

 

ガラガラ。
2003/09/07

 
 車の助手席に、ガラガラを置いて、エンジンをスタートさせた。
 今日はベイビーちゃんとのデイトの日。逸る気持ちを抑えて、車を走らせる。

 車がゆれるたびに、助手席のガラガラが、チリン、チリンと可愛らしい音をたてる。チリン、チリンと音が鳴るたびに、俺の心はキュンとなる。

 待ってろベイビー。

 

パンツマン。
2003/09/06

 
 いとうけんじ、家に帰ると服を脱ぐ。
 パンツ一丁。
 パンツマンだ。

 パンツ一丁でキッチンに立つ。
 油を使う調理はなかなか大変。
 なるべく火から体を遠ざけて、不自然な格好で料理をする。
 「エプロンぐらいしろよ。」と言う人もいるかもしれないが、それはいくらなんでもエロティックすぎるでしょ。
 それをやっていいのは、セクシーダイナマイトボディーの新妻だけだから。そう決められているから。常識人のいとうけんじ、そんな非常識な事はできません。

 もちろん、この文章もパンツ一丁で書いている。
 ふと、パンツに手をやってみて、大変な事に気がついた。
 前後ろ逆に履いている。

 反対パンツマンだ。

 なんて事だ。今日一日、パンツを反対に履いていたなんて。あー恥ずかしい。
 慌てて正しく履きなおす。
 一日反対に履いていたパンツは、体の凹凸にあわせて変形している。正しく履き直したのに、妙な違和感がある。
 それに、肛門の辺りをガードしていた布が、今度は男性の最も重要な部分に当たっている。
 こりゃダメだ。
 慌てて、また反対にパンツを履きなおした。

 申し訳ないけど、今日は俺、反対パンツマンですから。
 

 

贈り物。
2003/09/05

 
 つまらないものですが。

 何か贈り物をする際に日本人が言う一言。
 決しておごらない、つつましい日本の美しい習慣だ。

 贈って相手が困らないか。こちらの気持ちが品物に込められているか。安っぽいチープなものではないか。
 贈り手の相手へ気持ちと、自分のプライドと、そして予算とが、絶妙に折り合っている。
 それが贈り物と言うものだ。
 それを、「あなた様にとっては、つまらないものかも知れませんが、どうかお受け取りください。」と地べたにはいつくばるぐらい謙って差し出す。
 美しい。奥ゆかしいぞ、日本人。

 友人が、結婚をするにあたって、贈り物を考えている。
 もちろん、つまらないものですが、と言って、おずおずと差し出すつもりだ。

 でも、どうせなら、本当につまらないものを贈りたい。
 だって友人だもの。
 友情の証として。
 親しみの一つの形として。
 日本人特有の礼儀すら必要としない友好を象徴するものとして。
 つまらないもの。
 しかも、高価なもので。

 何がいいかな。
 ポルシェのエンジンのクランクシャフトなんてどうだろう。純正の部品を本国から取り寄せる。何十万もかかるだろうが、絶対に使い道がない。
 サメを水中で観察する時に、人が入る防護用のオリはどうよ。
 測量の時に使う、プロ用の水準器もイイね。

 何はともあれ、トシハル君、二度目の結婚おめでとう。
 

 

ナルシスト。
2003/09/04

 
 昔の自分の写真を眺めてから、鏡の中の自分を見つめる。

 ちと、老けたかな。
 でも、まだまだいけるな。

 鏡の脇に飾ってあるドライフラワーから、赤いバラを抜き取る。
 そしてくわえてみる。

 まだまだ、全然OKだな。

 そのバラを元に戻そうとしたが、上手く戻せない。
 ならば仕方がない。
 もう一本バラを抜き取り、茎をちぎって短くする。
 そして、セロテープで眉毛に貼り付ける。

 眉毛にバラ。

 どうせなら。
 カスミソウを鼻から生やす。
 マジックでほっぺに猫のヒゲを書く。
 髪の毛をペッタペタにグリスでオールバック。

 うっひゃっひゃっ。

 あーあ。一人で何やってんだか。
 

 


2003/09/03

 
 セミの骸があちらこちらに落ちている。

 何年もの間、セミは地中で過ごす。
 何年も何年も、暗い地中で幼生期を過ごし、何年目かの夏、地上に出て成虫となる。
 まぶしい太陽の下、はつらつと成虫としての本分を果たす。
 彼等が、成虫として生きられるのは一週間程度だと言われている。
 役割を終えて、まもなく死を迎える。

 生涯を全うしたセミが、あちらこちらに落ちている。

 そんなセミの生涯を、人は哀れむが、俺はその考えには同調できない。
 生涯の最後が、一番華々しいとうのは、むしろうらやむべきことではないのか。

 人間ときたら、一番輝かしい時を過ぎてからの方がずっと長い。
 一気に頂点に駆け上り、後はゆっくり落ちていくだけだ。
 寿命を全うして、最後の時を迎える頃には、カラカラのしわしわ。美しさのかけらも残っていない。

 人間もセミみたいに生きられたらな。
 定年退職する頃から、思春期。
 色気も美しさも、精力も、最高潮に達し、恋愛しまくり。ヤリまくり。
 後は死ぬだけですから、もうハメ外しまくり。

 いゃ、それはそれで、かなり怖いな。
 

 

クン。
2003/09/02

 
 議員は、議員をクンづけで呼ぶ。
 「かめいしずかクン。」
 「いとうけんじクン。」
 議会の中でも、また外でも。

 社会人として、クンづけはちょっとおかしいんじゃないかと思うのだが。
 クンがいいなら、チャンでもいいんじゃないかな。
 ふくだやすおチャン。
 ふくチャン。

 イイね。

 ところで、俺は常々、女性をクンづけで呼びたいと考えている。
 インテリぽくってカッコいい。クールだ。
 女性をクンづけで呼んでいいのは、大学教授とのび太の学校の先生だけだ。
 みなもとしずかクンっ。

 よって今日から俺は大学で教鞭をとるべく、努力を開始するぞ。
 そして女性をクンづけで呼ぶのだ。
 「しらとりれいこクン、今度の学会の時の飛行機の予約を頼むっ。」
 とか、言ってやる。
 

 

ノッティングヒルの恋人。
2003/09/01

 
 ノッティングヒルの恋人。

 ありがちだけど。いゃ、ありえないけどイイね。
 結末が最初から分かりすぎるほど分かるラブストーリーほど、平和なものはない。想像通りのクライマックスでは、ついついホッとしてしまう。
 あーあ。こんなストーリーに、心をときめかせている人が沢山いるんだろうな。

 恋に恋する自分。恋をしている自分に恋している自分。
 ありがちな、ありえないラブストーリーに自分の恋を投影している自分。
 だから恋は素晴らしいんです。

 ぇ、俺ですか。そりゃもう、身を焦がす恋を幾つもしましたよ。

 おかげさまで、俺の体は焦げ跡だらけです。
 コゲコゲです。

 ノッティングヒルの恋人に負けないぐらいの、俺のコゲストーリーの数々。
 皆さんに紹介して、皆さんをときめきの嵐に巻き込みたいのは山々ですが、それはまた別の機会に。
 

 

アロマブラック。
2003/08/31

 
 尿のにおいがヘンだな。何だかいい匂いがする。
 コンソメスープのような、おいしそうな匂いだ。

 ヤバいね。何かの病気だね。
 何だかよくないものが尿に混じっているに違いない。

 早速、尿を検査する。
 尿タンパク、反応を認めず。
 尿糖、反応を認めず。
 尿潜血、赤血球、ヘモグロビンとも反応を認めず。

 ふむ。所見無しっ、と。
 でもな。いい匂いがするんだよな。クンクン。
 ここ最近の生活で変わったものを食べたかな。
 記憶のサーチ開始。
 終了。

 分かった。原因が分かったぞ。

 珈琲です。
 ハードボイルドないとうけんじ、珈琲にはうるさい。
 もちろんブラックしか飲まない。ブラックじゃなきゃ珈琲の良し悪しは判断できないでしょ。
 珈琲専門店ですら、俺の舌と鼻を満足させるのは難しい。
 なかなか厳しいテイスターなのだよ。俺は。

 最近、俺をムムムッと言わせる珈琲に出会った。
 なんとコンビニで。

 JTが発売しているRoots。アロマブラック。
 これがなかなか、うみゃいっ。ヘタな喫茶店より、全然うみゃいっす。

 てな訳で、最近はアロマブラックを飲みまくっていた。

 うみゃい訳だよ。尿にまで残るほどの香料をふんだんに使用しているわけだから。
 

 

ジャニスの祈り。
2003/08/30

 
 ジャニスジョップリンのサマータイムがラジオから流れてきた。
 ジャニスの搾り出すようなハスキーボイスは、夕刻のドライブを切なく演出する。

 何処まででも走っていきたい。
 ヘミングウェイを何冊かと、ギターとブルースハープ。それだけを持って。
 何も生みださない。たいして文学的でもない。独りよがりの哲学と、自己満足のモラトリアム。そんな行くあてのない旅に出たい。
 青春時代の、気恥ずかしい情熱と自堕落的な感情が、みぞおちの辺りから湧き出てきて、心が少しうずく。
 車の窓を少し開け、過ぎ行く夏の匂いをかいだ。

 携帯電話が鳴る。

 受話器の向こうから、ベイビーの声。
 「ダーダーダー。」
 あら、ベイビーちゃん。どうしたのかなぁっ。お父さんでちゅよぉぉぉぉっ。

 先ほどまでのセンチメンタリズムは何処吹く風。

 お父さんでちゅよぉぉぉぉっ。
 明日、会いに行きまちゅよぉぉぉぉっ。
 わき目も振らずに、行きまちゅよぉぉぉぉぉっ。

 と言うわけで、明日はベイビーちゃんに会いに行くのだ。
 あーあ。ハードボイルドのいとうけんじ。すっかり子煩悩。
 

 

トマ中。
2003/08/29

 
 トマ中だ。

 トマトジュース中毒。

 略して、トマ中。

 先刻から、トマ中に悩まされております。
 コップに半分ほどトマトジュースを飲んだのですが、その後、ずっとトマトの余韻が口の中に残っていて、もっと飲みたくなってしまうのでございます。
 それで、もうコップに半分ほど飲んだのですが、また十分ほどすると同じように飲みたくなってしまいます。
 飲んでも飲んでも、トマトジュースを欲してしまうのでございます。

 もうどれぐらい、トマトジュースを飲んだでしょう。
 それすらも忘れてしまいました。
 お腹が飲みすぎで張っております。お腹いっぱいでございます。
 それでも、口がトマトジュースを求めるのでございます。

 芥川龍之介風に綴ってみました。
 時々、こういう風になりません?ピーナツとか、ポテチとか、かっぱえびせんとか。

 まったく。困りましたね。
 

 

虫の音。
2003/08/28

 
 ふと気付くと、秋の虫たちの鳴き声が、家を包み込んでいた。

 あ、秋が来ているな。

 去年、東京の高層マンションに住んでいる友人が、我が家に遊びに来た時、この虫の音に感動していたっけな。
 俺にとっては、まったく気にも留めない虫の音。
 今年は、いつ頃から、こうして鳴いていたんだろう。

 せっかく良い環境に住んでいても、日常の中でその事に気付かない自分。
 幸せと言うものは、慣れと共に、埋没してしまう危険性を持っているのだな。

 よし。明日は虫の音を聞きながら一杯やるか。

 もし良かったらご一緒にどうですか。
 茶室に花を生けてお待ちしています。
 

 

鬼のいぬ間に。
2003/08/27

 
 現在、妻が子供を連れて実家に帰っている。

 おいおい、いとうけんじ、何か悪いことでもしたのかと言うなかれ。
 俺は無実です。産後の帰省というヤツです。俺たち夫婦は問題なくやっています。ははは。
 女性ファンの皆さん、期待させてゴメン。

 家に一人でいると言うのは、ちと寂しくもあるが、なかなか自由な感じでよろしくもある。鬼のいぬ間に洗濯とはよく言ったもので、俺も羽を伸ばしています。
 いやいや、もちろん、我妻は鬼などと表現するには相応しくない、麗しい存在です。もちろん、もののたとえです。たとえ。

 妻がいない間に、俺は何をしているかと言うと。

 ベッドの上で飛び跳ねてみる。
 風呂上りに裸で家の中を歩き回る。
 靴下を脱ぎ散らかしてみる。
 ぶらりと夜中にドライブしてみる。
 トイレの便座を上げっぱなし。
 ホルモンとか、チキンナゲットとか、ハンバーガーとか好きなだけ食べる。
 エッチなサイトを見てみたり。

 ふははは。
 自由って素晴らしい。

 あーあ。結局時間を浪費しているだけだな。
 明日は読書の虫になろっと。
 

 

おんたま。
2003/08/26

 
 夏は今日まで。
 明日からは涼しくなるそうで。

 実は夏の暑さが続くうちに、是非ともやっておきたいことがあった。
 灼熱の車のダッシュボードの上で、温泉たまごを作る。温泉たまご作りには、適温なのだよ。あの暑さは。

 温泉卵作りに成功したら、とっとと脱サラして、温泉たまご屋を開店する。

 エコロジーな温泉たまご屋だ。調理過程で二酸化炭素を出しません。
 100%自然エネルギー。地球にやさしい温泉たまご屋さん。
 大ヒット間違いなしだ。

 ・・・?

 温泉も自然エネルギーだっけ。
 地球を汚していないんだっけ。
 やられたよ。
 またしてもやられたよ。
 完敗だよ。
 

 

遅れて来た夏。
2003/08/25

 
 今更ながら、夏らしくなってきましたね。
 失われた恋の季節は二度とは戻らない。今更暑くなっても、もう遅いんですから。恋のビーチは、くらげだらけなんですから。もう勘弁してください。
 ま、既婚のいとうけんじにとっては関係ないけど。

 思えば、国内で海水浴なんて、久しくしていないなぁ。
 いつも海外だからなぁ。今度はモルジブに行きたいなぁ。
 うはははは。
 と、ほざいてみましたが、
 ベイビーが誕生したので、もう海外で豪華にバカンスなんて、二度と無理かもしれない。

 夏の暑さでこそ輝く景色は、今年はどれもお預けです。
 皆さんは過ぎ行く夏をいかがお過ごしでしょうか。
 

 

ハードボイルド。
2003/08/24

 
 ベイビーの世話に奔走しています。

 今のところ、取り扱いは、たまごっちとそんなには変わらない。
 餌とウンチをちゃんとしてやって、後は洗うだけ。

 しかし、かわいい。
 餌をやった後、ゲップをさせなければならない。その際、ベイビーを立てて抱っこします。頭を、俺の胸に当てて、背中をさすってやる。
 その時、ベイビーは頭をプルプルと小刻みに振るのです。
 きゃわいいっ。
 俺の胸でプルプルしないでっ。
 もう、きゃわいすぎて、死にます。

 いとうけんじ、ハードボイルドな男。巷ではクールなダンディズムをまとった男として認知されている。
 いいのか、いとうけんじ。
 こんなんで。
 ベイビーに対しても、男らしくビシッと接するべきではないのか。

 「おなかがすいたのかい、ベイビー。」
 「ミルクなんてナンパな飲み物は男には似合わないぜ。」
 「男はビシッと、ワイルドターキーだ。」
 「飲めっ。」

 いや、死ぬから。
 バーボン飲んだら、死ぬから。

 ハードボイルドないとうけんじ、今日も哺乳瓶を煮沸しています。

 

 

夏の忘れ物。
2003/08/23

 
  そろそろ夏休みも終わりに近づきました。
 大学を卒業をしてずいぶん時間が経過していますので、夏休みがないことにすっかり慣れてしまいました。

 夏休みと言えば、宿題ですな。
 小中高生諸君、順調にはかどっているかな。

 俺、宿題をちゃんとやったという記憶がございません。
 読書感想文と、工作だけは、超大作を完成させていたのですが、あとの宿題は、やらない。それに徹底してました。
 登校日には、ちと気まずいのですが、その日一日を乗り切れば、後は時間が解決してくれる。
 失恋と一緒です。

 夏の恋の思い出と、やらなかった宿題は、僕の心に、わずかなうずきを残し、セピア色に色あせたフォトグラフになっていくのです。

 

 

ベイベー。
2003/08/16

 
 サンキュー、ベイベー。
 

 

コロッケ。
2003/08/10

 
 コロッケ。

 野菜コロッケ。カニクリームコロッケ。コーンクリームコロッケ。グラタンコロッケ。

 メンチカツは、ひき肉コロッケと言っても良いのではないだろうか。

 仲間はずれみたいでかわいそうだろ。
 

 

カナブン。
2003/08/08

 
 夜、書斎に篭って書き物をしていると、窓にコツコツと何かがぶつかる音がする。
 光に誘われ、カナブンが、飛んで来て窓にぶつかっているのだ。
 その度にコツコツと音がする。

 夜行性の昆虫の多くは、街灯などの光に引き寄せられる。

 そんなに光が好きなら、昼間活動しろよ。

 そう言いたいところだが、彼等にも彼等の事情がある。
 夜なら、鳥などの天敵に捕食されにくい。小さな体で懸命に生きる彼等は、暗い夜にしか自由に行動できないのだ。
 光に憧れながら、彼等は夜に生きる。

 コツコツという音に、かすかな哀愁を感じた。
 

 

いい事。
2003/08/07

 
 その出来事が、自分にとって、いい事か、悪い事か。それはその時には判らないものさ。数年経って初めて判る。

 ヤツが結婚した時、結婚はそりゃヤツにとってはいい事だったろうさ。
 でもすぐにお互いにすれ違い始め、やがてはどうしようもない大きな溝が出来ていった。一言も会話のない日が何日も続いて、顔すら見ない日もあったとか。数年後ヤツは離婚を経験した訳さ。

 ヤツにとって、結婚は悪いことだったんだ。

 離婚した時、ヤツにとってそれは、そりゃあ辛いことだったろうぜ。
 今までに経験したことのないほどの悪い出来事さ。
 でも、不自然で不健康な夫婦生活から開放されたことで、二人とも見違えるほど元気になったし、二人の関係も結婚していた時よりも良くなった。二人には夫婦と言う関係が向かなかった。それだけだったのさ。

 それに気付いて、人生をやり直すことが出来たと言うことは、離婚はヤツにとってはいい事だった。

 何がいい事で、何が悪いことなのか、そりゃ、誰にも判りゃしないと言うことさ。
 そんなものさ。

 数年前、コンビニでハンバーガーを二つ買った。彼女と二人で食べようと思って。
 家に帰って袋を開けてみたら、一つしか入っていない。そりゃあブルーになったさ。最悪さ。仕方なく、一つのハンバーガーを二人で分けた。半分になったハンバーガーを二人で黙って食べた。

 これが正しく二つのハンバーガーがあったとしたら。
 コンビニでハンバーガーを買って食べたと言う些細な出来事は、今頃はすっかり記憶から削除されているだろう。
 店員が間違えてくれたおかげで、忘れられない記憶となっている。
 二人だけの、ささやかな思い出だ。
 大切な思い出だ。

 ハンバーガーを入れ忘れられたことは、いい事だったんだ。

 何がいい事で、何が悪いことなのか、そりゃ、誰にも判りゃしないと言うことさ。
 そんなものさ。

 何でも経験しておけばいいのさ。

 

アムールトラ。
2003/08/06

 
 アムールトラという希少な動物のドキュメントを見た。
 シベリアのタイガと呼ばれるジャングルの中に、ひっそりと生きる神秘の動物だ。

 トラは肉食動物だから、他の動物を食らって生きている。

 獲物を仕留めたトラが、言い知れぬ哀しみを感じているように見えた。懸命にタイガの中で生きる一つ一つの命。その命を食らってしか生きることが出来ない。そんな自分の運命を嘆いているかのようだ。

 通常、トラは一人ぼっちで森に生きる。罪滅ぼしのように。そして生きるために食らう。

 なんと神々しい姿だろうか。

 それに引き換え、人のなんと愚かしいことか。
 

 

サニー。
2003/08/05

 
 急に風が強くなったなと思ったら、かすかに雨の匂いがした。
 すると突然、空は黒雲で覆われ、辺りは薄暮時の様に暗くなった。と、予告なく土砂降りの雨が降ってきた。十秒も雨の中に立っていたら、内臓までぐしょ濡れになってしまいそうな、激しい雨。
 僕は慌てて運転していた車の窓を閉め、カーラジオを点けた。

 ボビー・ヘブのサニーと言う曲が流れていた。

 真昼だと言うのにヘッドライトを点け、ワイパーの効かないほどの雨の中を運転するのが好きだ。なかなか遭遇することの出来ない非日常な空間。前に同じような天候に遭遇したのは何時だったか。

 サニーと言うのに、土砂降りの天気にぴったりの曲だ。

 確か、次に変調した時に、ベースがフレーズをちょっとだけ弾き間違えるんだったよな。
 僕は、その瞬間を聞き逃すまいとボリュームを上げた。10年前に僕がこの曲に聞き入っていた時と同じように、やっぱりベースは一つ音を外した。

 間もなくラジオの中のボビー・ヘブは演奏を終えた。

 雨はまだ降っている。
 

Produced by 110kz.com

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