ごくたまに、平日に休みが取れることがあって、そういう時はいつも、一人でドライブに行きます。
国道を北上して、気が向いたところで、知らない山道に入り込んでみる。そうすると、たちまち迷子になれる。自分とは縁もゆかりもない場所に、ポンと放り出されたような、浮遊感を楽しむのです。目に映る景色が、すべて初対面。どの景色にも、人の営みと歴史が刻まれていて、そこに住む人たちの、長い息遣いが聞こえてきます。そしてそれを包み込む大地と自然の営み。
ちょっと前。
まだ雪が残っていた季節なので3月半ばぐらいだったと思うのですが、気まぐれドライブをしていたら、棚田を見つけたのです。後で調べてみたら、日本の棚田100選の一つだということがわかりました。
へー、驚き。
棚田が100個所も存在していることも、選ばれている棚田に出会えたことも驚き。
農閑期だったので、田んぼは乾いた土の状態。ただ、風が通り過ぎる音だけがしていました。点在する民家からは人の気配は感じられるものの、山間の人々は、息を潜めているかのようにとても静かです。静寂な時間がそこには流れていました。
おそらく、今はもうすっかり大きくなった稲たちが段々の田んぼに、緑色のじゅうたんを敷き詰めているんです。田に生きる生き物や、水の音や、稲が揺れる音がして、きっと賑やかなんだと思います。
そして雨が降ったら、きっと。
そこに響く音は、とてもステキなんだろうな。
以上、雨雲に覆われていく空を眺めて、思ったこと。
願わくば、その場所に君と。
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