いつもの台風一過とは違い、今日の空はとてもドラマチックだった。白とグレーのコントラストの強い雲が引きちぎられて、いつもよりも青色の強い空にちりばめられていた。台風が空気中の不純物を持ち去ってくれたので、空気の透明度が増し、街の色彩も鮮やかに見える。いつもの街が、映画の感極まったクライマックスのように彩られている。
オレは夢中で心のシャッターを押した。
数日前に、性能の良いデジカメを買ったばかりなのに。
カメラを買ったばかりなのに、なぜに心のシャッターを押したかというと、カメラがぶっ壊れてしまったからだ。なぜ壊れたかというと、シンプルに、落とした。そして電池入れるところのふたの小さな突起が割れて、固定できなくなった。デジタルカメラという超ハイテクの精密機械が、わずか2ミリ程度の突起が割れただけで使用不能になってしまうことに、憤りを感じる。
繰り返すが、たった2ミリ、プラスチックがかけただけだ。 それで使えなくなるカメラを作るエンジニアの良識を疑う。バカヤロー。落としたオレも悪いかもしれんが、けど、カメラ、落とすことだってあるじゃん。引力があるんだからさ、そのあたり、多少は想定しておいてよ。バカヤロー。
とりあえず、欠けたプラスチックを接着剤でくっつける補修をした。接着剤が乾けば、たぶんまた使えるはずだ。
ところで、ぶっ壊れるの、「ぶっ」て、何でしょうね。
ぶっ飛ばすとか、ぶったまげるとか、あと活用形ではぶん殴るとか、結構「ぶっ」がつく言葉は多い。調べてみると以下の通りのことが判明した。
[接頭]《接頭語「ぶち」の音変化》動詞に付いて、その動詞の示す動作・作用を強める意を表す。
なるほどぉ。強く言いたいときに、これを使ったらいいのか。
ぶっ愛してるとか、ぶっ抱きしめてとか、そういうのでもいいのかな。今すぐ私に会いにぶっ来て。あなたのことを思うと、胸がぶっ張り裂けそうなの。とか。なるほど。これ、すげぇ言葉のインパクトが増すな。愛を語らうにはぴったりの表現方法かもしれない。
これ、接頭語として使うだけでなく、語尾につけてもいいな。
あなたに会えてよかったでぶっ。
ああ、これなら、恥ずかしい言葉でも言えそうな気がする。
オレ、あんたに惚れとりまぶっ。
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