涙と言えば、とても悲しい時や、逆にとてもうれしい時など、感情が高まった時に目からあふれ出てくる透明な液体である。
ちなみに、涙って、実は血液です。
血です。
血液が毛細血管から涙腺に運ばれて出てきくるのが涙なのだ。その過程で、赤血球などの大きな成分は細胞膜を通り抜けることが出来ず、赤い色がろ過されて透明になっているのだ。
冷血非常な人のことを、「あいつには血も涙もない。」と表現することがあるが、それは間違った表現だったわけで、正しくは「あいつには血がない。」それだけでよかったわけだ。なるほど。男性が女性の涙に弱い理由も、これではっきりと分かった。男はもともと血に弱いのだ。なるほど、なるほど。
さて、人が泣くメカニズムをもう少し詳しくご紹介しよう。
人の体は、周りの環境や自分の健康状態や運動状態などに応じて、一番最適な状態を保つために、様々な器官をコントロールしている。心臓を動かす、呼吸をする、汗をかいて体温を調節するなど、カラダの器官の働きを調節しているのが自律神経だ。涙もこの自律神経の働きによって分泌されている。
悲しい、苦しいなど過度のストレスにさらされた時、血中にはストレス物質が生じる。涙はこのストレス物質を体外に排出するために分泌されると考えられている。同時に、リラックスを促す脳内ホルモンも分泌し、涙がその吸収を促している。
つまり泣くことは、体や心をストレスから守り健全に保つための生理現象であり、究極のストレス解消法なのである。
なるほど。だから泣くとスッキリするんだな。
なんか、泣きたくなってきたな。泣けるようないい話があれば、ぜひ聞かせてください。ちょっと泣いてみます。
涙について、一つ思い出がよみがえってきたので、最後にその話をしよう。小学生の頃、給食の時の飲み物と言えば牛乳だったのだが、ある時、牛乳を飲んでいる奴を笑わせて、飲んでいる牛乳を吹き出させるってのがブームになった。
給食の時間は、牛乳を飲み終えるまでは一時も気の許せない、緊迫した戦いの場となった。誰かが牛乳を飲もうとしたなら、素早くギャグや冗談や面白い顔などで笑わせなければならない。逆に自分が飲むときには、これらの攻撃に負けず、心を鎮めて、素早く飲み干さなければならない。そして毎日数人は、戦いに敗れて、白い噴水を、自分のテーブルの上にぶちまけていた。
その日、カオリちゃんが牛乳を飲んでいるときに、イサオ君が放ったギャグが、見事ツボに的中。カオリちゃんは、爆笑する自らの心と体を押えきれず、白い液体を口から吹き出しそうになった。慌てて、口を手で押えると、行き場を失った白い液体は、鼻腔に流れ込み、鼻の穴からツツーと流れ始めた。カオリちゃんは、慌てて鼻をつまんでそれをせき止めた。そして、その白い液体は。
うわっ、目から出たぁ。
白い涙である。白い涙が、ダーと目から出てきたのだ。白い涙を流して泣く、いや笑う。透明な涙が白い牛乳に置き換わっただけなのだが、強烈なインパクトを受けた。物凄く衝撃的な映像でした。白い涙を流しながら笑い転げるカオリちゃんの姿を、オレは一生忘れることはないだろう。
やっぱり、涙は透明がよいです。
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