野生動物の研究者は、動物が残した足跡や毛やうんこを見るだけで大抵のことは分かってしまう。
「メスですね。」
「生後五ヶ月ぐらいの子供を連れています。」
「三時間ほど前にここを通っていますね。」
すっげぇなぁ。何でそんなことまで分かっちゃうんだろ、と感心しきりである。
特にすごいのが、うんこの調査。生物研究において、うんこほど情報量の多いものはない。うんこを微細に調べるだけで、その生物の生態が分かってしまうといっても過言ではない。故に、研究者のうんこに対する情熱も半端ではない。手で触って調べるのは当たり前。手のひらの上でこねくり回して、ビャーと伸ばして、くっつくぐらい顔を近づけて眺めてみたり、臭いをかいだり。
挙句の果てに、
ペロッ。
え?
今、舐めましたよ、うんこ舐めましたよ。センセー、マサノリ君がうんこ舐めましたぁっ。
全ての感覚器官と感覚神経を使って、動物たちの営みを感じとろうとする、ひたむきなまでの研究姿勢は、ホントすごいと思う。神々しさすら感じる。こんな尊い研究の積み重ねが、人類の英知なのだ。ありがとう、研究者の皆さん。うんこ舐めてくれてありがとうっ。
ところで、生物学以外にも、うんこを情報源として活用している分野がある事をご存知だろうか。
軍隊である。
ジャングルなど、お互い敵が見えない場所でのゲリラ戦において、敵を知る情報源の一つがうんこである。敵の残したうんこの量や状態を調べることで、敵の人数や、健康状態を把握できるわけだ。
第二次大戦中、グアムやフィリピンのジャングルの中で、アメリカ軍と日本軍が戦闘を繰り広げていたとき、アメリカ軍は日本兵の残したうんこを見て、ビビったという話を聞いたことがある。
肉ばっかり食ってるアメリカ人のうんこと比べると、食物繊維をたっぷり食っている日本人のうんこは量がかなり多いらしいのだ。前線の兵士なんか、芋とか麦とか、繊維質の多い物しか食えなかったと思うから、うんこの量もかなり多かったと思う。
オー、ノー。ウンコ、タクサンデース。
ジャングルノナカニ、ニホンヘイ、ウヨウヨヒソンデイルイルトオモイマース。
オー、ノー。
と、うんこ見てビビったアメリカ軍。ま、ホントかどうかは知りませんが。
うんこ話のついでに、もう一つうんこの思い出話していいですか。
学生時代の話なのだが、ある日、路上でうんこがしたくなって、近くの友達のヒデオ君のアパートに行った。ヒデオ君は留守だったのだが、勝手を知っているので、鍵を開けて、トイレを拝借。
ふう、と息をつきながら、思いついてしまったんですね。
これ、このまま流さずに帰ろうって。
和式の便器だったから、オレが産み落としたうんこは、その立派な全容を露に、威風堂々と横たわっている。あまりに立派なうんこだったので、流すのが惜しくなってしまった。この勇姿を、誰か他の人にも見せたい。とりあえず、家主であるヒデオ君には見て欲しい。ヒデオ君、誕生日も近かったし、プレゼントの意味も込めて。
「プレゼントを置いて帰ります。」
とだけ書いた置き手紙を残してヒデオ君の家を後にした。名前も告げずに。季節外れのサンタクロースみたいな気分だ。ヒデオ君のおどろく顔を想像するだけで、顔がほころぶ。うふふ。ビックリするだろうな。これは誰のうんこだろうって悩むだろうな。うふふ。
でも、何故かすぐにオレってバレまして、コテンパンに怒られましたけど。
アパートのドアを開けた瞬間、ただならぬ気配に慄いたそうです。
家中にうんこの臭いが充満していたそうです。
うんこはすぐに流しましょう。
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