ジューンブライド。
2005/06/18

 
 六月の花嫁は幸せになれる。

 こんな海外のジンクスがいつの間にか日本でも定着し、六月には結婚式が集中する。もともとジューンブライドを日本に持ち込んだのは、結婚式場業界で、梅雨で売り上げが落ち込むこの時期のカンフル剤として使ったのが始まりだそうだ。業界の思惑は的中し、今や最も結婚式の多い月になった。

 この時期の結婚式に出席すると、式場の人の多さに面食らう。式と披露宴は、無理無理に詰め込まれたタイムテーブルで、次から次へと執り行われていく。一つの式が終わったら、すぐ入れ替えて別の式が始まる。待合室やロビーや廊下は、開始時間待ちの列席者や、式が終わって余韻に浸りながら屯っている列席者でごった返す。

 結婚式って、始まる前に写真撮影室で集合写真を撮ることが多いのだが、これも順番で、次々と新郎新婦と列席者を入れ替えて撮っていく。

 撮影現場は、無理無理の巻きのタイムスケジュールですからね。順番が来たら、すばやく入室して、すばやく並んで、迷惑かけないようにスタッフに協力するってのが礼儀だ。

 まず、列席者がひな壇に並べられて、スタッフに服装とか髪型の乱れとか立ち位置とか細かく指示されて、準備が整ったところで新郎新婦が入室して着席する。

 で、そこで初めて気づくわけですよ。

 これは間違えたな、と。

 全然知らない新郎新婦が入ってきたぞ、と。

 ここはオレの居場所じゃない。

 ひょえぇぇぇぇっ。

 結婚式出席者って、基本的には知らない者同士。新郎新婦だって、自分の結婚式に出席している全員を知っているわけではない。相手の親戚とか友人とか、初対面で二度と会わない人もいるのだ。だからぼんやりしていると、全然違う人の結婚式列席者の集団に紛れ込んだまま気づかなかったりする。

 静まり返っているし、一番奥の高い段に立ってるし、時間も押してるし、今更違うとは言えない。仕方が無いので、もう笑顔です。飛び切りの笑顔で参加するってのが、せめてもの礼儀です。

 結婚式の写真って、後から必ず見るもので、新生活が落ち着いたところで、家族の団欒の場とかで、みんなで眺めたりするわけですよ。

 千葉の麻里ちゃんって、キレイになったよねー。
 葛西のおじさんって老けたよねー。
 わー、オレ、目を閉じてるよ。

 で、オレのところで手が止まり会話が途切れるんです。

 だ、誰、これ。

 バシバシとフラッシュを浴びながら、そんな光景が目に浮かぶ。ムフフ。あー、楽しいなぁ。もう、笑える。笑いを抑えるのが辛い。ムフフ。オレ、物凄くいい笑顔で写っていると思う。

 ムフフ。ふはは。あはははは。

 2002年の六月に結婚されたご夫婦で、結婚式の集合写真に、見知らぬ素敵な男性が写っているって人がいたら、ご一報ください。

 あ、あと、この場をお借りしてお詫びします。
 ごめんね、ホント。
 末永くお幸せにね。
 

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