オレオレ詐欺。
2004/04/20

 
 
オレオレ詐欺が頻発している。あれは電話だから成立する詐欺だと思っていたら大間違いだ。

 例えば、クラス会で、「よぉっ、久しぶりっ。」と声をかけていた奴が、最後まで誰か分からないままという経験はないだろうか。クラス会という場面なのだから、同級生なのだと言うことは分かっているが、心の中で「お前は誰やねん。」とつぶやきながら笑顔を作り適当に話をあわせる。

 これがクラス会ではなかったとしても。
 道を歩いていて、前から歩いてきた男が、突然満面の笑顔で、「あれーっ、久しぶりーっ。元気だったぁ?」などと声をかけてきたらどうだ。親しげに話しかけてくる相手に対して、「お前は誰じゃ?」とは聞けない。相手は自分事を覚えているのに、自分は相手のことをまったく覚えていないと言うのは、あまりに失礼な話だ。覚えていない事を相手に悟られないように、適当に話を合わせながら、心の中では猛スピードでデータ検索を行う。

 はっきり言ってピーンチ。
 もう、タジタジである。

 タジタジで、しどろもどろで、必死な笑顔で、目が泳ぐ相手を、手玉に取ろうと思ったら、実にたやすいことだ。このような人の心理を悪用した、リアルオレオレ詐欺なんていう犯罪も、いずれ出てくるかもしれない。街を歩く時はご注意を。

 オレオレのついでに、アレアレについても語ってみましょうか。

 年を取ると、具体的な単語や固有名詞が、ボキャブラリーの中から欠如していき、アレという代名詞で、会話をするようになる。全てのことをアレで表現できてしまうからスゴイ。職場で、年配の人同士の会話を聞いていると、本当にスゴイ。ビビリます。

 「例のアレ、どうなった?」

 「ああ、アレね。明日、アレすることに決まったから。」

 「じゃあ、アレは、アレで良かったんだね。」

 「でも、あっちのアレの、アノ部分は、アレに変更した方がいいよ。」

 おい。それで、話が通じているのかよっ。と思わず突っ込みを入れたくなるシーンのオンパレード。多分、何回かに一度ぐらいは、お互いが全然違うことを指して会話している事があるんじゃないかと思う。二台並んだ公衆電話で話す二人の会話が、偶然会話をしているように聞こえるみたいな。話す内容は食い違っているのに、会話と言う作業は成立していると言うことが、あるんじゃないのかな。

 ところで、アレという単語も使い方によっては、怖い言葉にもなる。

 「なぁ、タナカ君、実は俺、君の、アレ、見ちゃったんだよ。」
 「驚いちゃったな。まさか、君がアレとはねぇ。」

 などと言われれば、「な、な、何だ。アレとは。あの事か、それともアレか、いゃ、あの事かもしれないっ。」と、物凄く動揺する。ヘタに何か言って墓穴を掘っては困るから、何を知っているのかを相手に聞くことも困難で、ただひたすら動揺するしかない。
 人間生きていれば、人に言えないことや、後ろめたいことの一つや二つは必ずあるもので、こんな台詞で脅されたら、大抵の奴はうろたえるはずだ。
 とりあえず、俺はかなりうろたえる。

 そんな心理を逆手に取った詐欺。

 アレアレ詐欺。

 後ろめたいことがたくさんある人は、ご注意ください。

 この際だから、この調子でアレアレ、イレイレ、ウレウレと、五十音すべてを網羅してはどうだろう。詐欺師の皆さん、ぜひチャレンジしてみてください。
 ちなみに俺は、ヌレヌレ詐欺やムレムレ詐欺にだったら騙されてもいいような気がします。と言うか、騙されたいっ。色気ムンムンの美人でゴージャスなムレムレ詐欺に騙されたいぞっ。

 ふぅ。ヤレヤレ。
 

Produced by 110kz.com

Sponsor Site