名前。
2004/03/23


 日本の戸籍に関する法律や、制度は矛盾だらけである。登録できる漢字は限られているから、子供の名付けには結構苦労する。「うわぉっ、この名前サイコー、この子の名前決まりっ。」と喜んでいても、調べてみると登録できない漢字だったりする。「えっ?この漢字もダメなの?」の連発だ。

 我が家の場合、「菱」という漢字を使いたかったのだが、これがダメだった。
 伊藤三菱。
 キャー、カッコイイっ。財閥って感じで。リコール隠しなんてヘッチャラみたいで。三菱関連の会社にすんなり就職できそうで、入社早々、将来の社長候補とか言われそうで。
 ま、ベイビーにしてみれば、「やーい、三菱えんぴつっ。」とイジメられなくて済んだわけで、助かったと言ったところだろう。それに、企業体質が腐りきった三菱を背負って立つなんて、荷が重いし。
 伊藤三菱、いい名前なんだけどな。ちょっと未練がある。

 普通の人なら、事前に登録できる漢字かどうか調べてから、出生届を出しに行く。しかし、世の中には、ブッツケ本番な奴等も沢山いるわけで、出生届を受理されないケースも多い。知恵を絞って絞って、考えに考えて付けた名前が、アッサリと「あ、これダメだわ。」と役所の窓口のオバチャン言われてしまう。
 そうなると、腹が立ってしまうんですな。「訴えてやるっ。」

 事前にちゃんと調べなかったお前が悪い、とオレは思うのだが、ブッツケ本番な連中は頭にカーッと血が上ってしまい、突然、反体制主義者になってしまう。「悪いのは体制だ。国に権利を侵されたっ。」と何だか大げさな話になって、裁判までやってる人も多いらしいから、いやはや何とも困ったものだ。

 ところで、漢字に関しては結構な制限があるのに対して、その読みについては一切の制限がないのは御存知だろうか。
 常用漢字の読みとして登録されている読み方や、一般的に浸透している読み方など、常識的に通用する範疇と言うものがあるのだが、名づけに関しては、そんな事は一切無視してもOKなのだ。

 「太郎」と書いて「ジロウ」と読んでもいい。
 「花子」と書いて「エリザベス」でもいい。
 「本気」と書いて「マジ」。
 名前の読み方は、もう、何でもアリの無法地帯だ。

 昨今、この何でもアリに便乗する連中が多く、スゴイ名前の子供が増えてきている。どう考えても読めない名前のオンパレード。地球と書いてアースちゃん。原子とかいてアトムちゃん。こんなのはマシなほうで、暴走族の夜露死苦みたいな、強引で頭悪そうな当て字系の名前も沢山ある。
 でも、どんなにセンス悪い名前でも、親が愛情を持って一生懸命に付けた名前。
 どんな名前でも許すよ。

 許していけないのは、虐待や育児放棄や、子供をほったらかしでパチンコする親。悲惨なニュースを見るたびに、涙が出る。死んだりするほどの重大な事件にならなければ、ニュースで報道される事はないだろうから、世の中には数え切れないほどの悲しい虐待が存在すると推測できる。

 オレのところへ逃げて来い。みんなオレのところへ来い。みんなオレが守ってやる。

 残念ながら、この叫びは彼らには届かない。
 ホントに涙が出る。

 名前なんて、どうでもいい。
 どんなヘンテコな名前でも、家族が、親子が、仲良く笑って幸せならそれでいい。

 子供たちに愛を。

※2004年に戸籍法施行規則(法務省令)が改正される見通し。人名に使える漢字は、最低でも500字以上が追加される。現行は常用漢字1945字とともに法務省令で「人名用漢字」の285字に制限している。過去約50年間で追加されたのは380字しかなく、実現すれば半世紀ぶりの抜本改正となる。

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