バレーボール日本男子のナントカという選手は、手に目が付いている、と言われているらしい。ネット際の空中攻防の際の状況判断とボール捌きが優れているから、そのように評されている。もちろんこれは比喩的表現で、実際は手に目なんか付いていない。
そんな気持ちの悪い話があってたまるか。
しかし、手に目が付いていたら案外便利かも。
昔、肛門のすぐ横をアブに刺されたことがある。
キャンプの時、パンツを履き替えようとしたら、肛門の辺りにチクッと激痛が走った。あうっ、とうめいた次の瞬間、アブが飛び去っていった。
ぎょぇぇぇぇぇぇぇっ。
経験がある人なら分かると思うが、アブに刺されると、広範囲がパンパンに腫れ上がり、強烈な痛みと痒みが何日も続く。足首を刺されたら、歩けなくなるぐらいなのだ。
そ、それをよりにもよって、肛門のすぐ横とは。
すぐに毒を抜かないと、ヤバい。ヤバすぎる。命に関わる。
こんな時のためにと、毒抜きのシリンジを持っていたが、いかんせん、場所が悪いっ。患部が確認できないっ。ヤバいぞっ。ヤバいぞっ。
クニャリと不自然な格好で前屈し、手鏡を持つ手をプルプル震わせて、死ぬ思いで肛門を見た。
一生で、最初で最後の、自分の肛門との対面。
やぁ、はじめまして。
その後、なんとか無事に毒を抜くことが出来、大事には至らなかったが、手に目が付いていたら、これほどジタバタと動揺することはなかったはずだ。
肛門の横をアブに刺された時に役立つ、手の目。
痔の時にも便利です。
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