登山。
2003/10/21

 
 ハードボイルドなイトウケンジ。
 登山などもする。

 ハードボイルドなイトウケンジ。
 登りも下りも、めちゃめちゃ早い。
 別のパーティーが、のんびり登山していると追いついてしまう。

 よっしゃ。始めますか。

 「先生、大発見でしたね。」
  ああ。こんなところで人類の起源となる猿人の化石が出るとは。

 「これを公表すると、どうなるんですか。」
  世界がひっくり返るだろうな。

 「今まで見つかっている猿人は、いずれも人の先祖ではないですものね。」
  ああ。明日の朝刊にバッチリ書いてくれよ。

 博士と、新聞記者ゴッコだ。

 前を歩いていた50代ぐらいの男女のパーティーから、会話が消える。
 明らかに、オレたちの会話に聞き耳を立てている。
 まじでぇー。すげー。とか思っているに違いない。

 うっひゃっひゃ。

 他に、
 殺人事件の犯人を追って、山小屋に向かう刑事ゴッコとか、
 ドックショーのチャンピオン犬を鍛えるため、山に来たブリーダーごっことか。
 犬は、別にいなくても大丈夫。
 「おいでー。何やってるのっ。ピーピー。」
 と口笛を吹くだけで、犬がいると思い込んでくれる。

 山に登る時、山の地形やルート、予想される天気など、事前に調べておくことは沢山ある。その山に生息している植物や動物、その時期に咲く花の種類を調べておくのも、登山の楽しみをふやしてくれるだろう。
 しかし、それよりもだ。
 ネタだな。
 大事なのは。

 何ゴッコをするかを決めたら、それが真に迫るよう勉強をする。もう徹底的に。
 地質学者になると決めたら、地層学を。
 獣医になると決めたら、動物解剖学を。
 トレジャーハンターになると決めたら、埋蔵金伝説を。
 ちなみに、台詞は全てアドリブだ。 

 オレたちの話に聞き耳を立てていた人達が、
 オレたちが立ち去った後、「ねぇねぇ、聞いたー?」と始める姿や、翌朝の朝刊をワクワクしながら広げる姿を、想像するだけで。

 もぅ、うっひゃっひゃっ。
 

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