ヨーロ、ヨロ、ヨッホッホー、ヨッホッホーラ、ヨッホッヒー。
国民的テレビアニメ、「アルプスの少女、ハイジ」のテーマソングが流れている。
何処に流れているかと言うと、オレの頭の中だ。何度も何度もリフレインしている。メロディーが耳に付いて離れない。
かれこれ3時間以上。
もう、勘弁してください。
札紙幣が一新されることの経済効果について考えたり、昆虫には猛毒のウィルスが哺乳類には免疫効果を高める効果があることを考察したり、モリアオガエルの一生に思いを巡らしたり、色々なことを考え、別のことに意識を集中し、ハイジの歌を追っ払おうとする。
しかし、ちょっと気を緩めると。
ヨーロ、ヨロ、ヨッホッホー、ヨッホッホーラ、ヨッホッヒー。
いゃぁぁぁぁぁぁぁっ。
こう言う時は、別の音楽で撃退するべし。
映画「ジョーズ」のテーマ曲。
ズー、ズン。ズー、ズン。ズンズン。ズンズン。ズンズン。ズンズン。
途中でドボルザークの交響曲「新世界より」の第四楽章に変わってしまい、メロディーの記憶があやふやになったところで、遠くの方から聞こえてくる。
ヨーロ、ヨロ、ヨッホッホー、ヨッホッホーラ、ヨッホッヒー。
うががががっ。
ならば、ベートーベン交響曲第五番「運命」ならどうだ。
昔は第四楽章まで完全に暗譜しいて、総計40分以上の大演奏をイメージングすることができたのに、ダメだ。記憶があやふやになっている。そして聞こえてくるのは。
ヨーロ、ヨロ、ヨッホッホー、ヨッホッホーラ、ヨッホッヒー。
ソウルフルな音楽ならどうだ。
ジェームスブラウン。Get up!!
撃沈。
マービンゲイ。mother mother・・・
撃沈。
カーティスメーフィールド。move on up!!
撃沈。
およげ、タイヤキ君。毎日毎日・・・
撃沈。
ハイジの歌のパワーの前に、どんなジャンルのどんな曲も圧倒されてしまう。
ハイジとクララの笑い声まで聞こえてきた。でかい犬がワンワン吠えて、おじいさんの渋い声とか、ロッテンマイヤーさんのヒステリックな声とかも聞こえてくる。
ヨーロ、ヨロ、ヨッホッホー、ヨッホッホーラ、ヨッホッヒー。
助けてください。ホントに。
教えてください、おじいさん。
アニメソングには、アニメソングで対抗するしかないな。
行けっ、パーマン。
行けっ、鬼太郎っ。
行けっ、ルパン。
飛べっ、ガンダム。
おーぃ、ハニ丸。
ダメだ。ハイジは強すぎる。まるで歯が立たない。ことごとく敗退。
しかし、天はオレを見放さなかった。飽くなき闘いに疲れ果てたオレの元に、光が注すように一つのメロディーが流れてきた。
軽快で歯切れよく、爽やかで明るいメロディー。
目茶目茶パワーがあるメロディー。
このメロディーが流れ出した瞬間、ハイジは風と共に去って行った。
ホッ。
ありがとう神様。
さようならハイジ。
しかし、今度はこのメロディーが居座って離れない。
母さんお肩がこってるの プチ、プチ プチ、プチ プチシルマ・・・
もう、勘弁してください。
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