サンタクロース。
言わずと知れた、キリストの生誕を祝う、クリスマスという行事の、マスコットキャラクターである。白いヒゲ、赤い服、おもちゃの入った白い袋、トナカイの牽くソリに乗って、クリスマスイヴの夜、子供たちにおもちゃを配る。
サンタクロースなんて本当は存在しないと知った時のショックは、今も鮮明に覚えている。どおりで、我が家にはヘンテコな贈り物しか届かないわけだ。
フィンランドとかにはサンタを職業としている人がいるらしいが、あれははっきり言ってタダのコスプレだから。デパートの屋上のガオレンジャーと同じだから。
サンタクロースは、マスコットキャラクターであって、想像上の生き物。実在した人物がモデルになっているものの、あくまでもキャラクター。
誰かが考えたんです。
* * * *
ねぇ、クリスマスって、キリスト教徒の我々にとっては、最大のイベントだよね。
そうだね。
マスコットキャラクターとか、あった方がいいよね。
そうだね。
マスコットキャラと言ったら、動物だよね。
そうだね。
犬とかどう?
ちょっとね。
じゃあ、象は?
それもちょっとね。
こんな話知ってる?昔、セント・ニコラスって司祭がさ、貧乏がために娘を嫁に出せない貧しい家に、金貨を投げ込んで助けたって話。
知ってる。嫁に行けないのは、貧乏のせいだとは思えないけどね。
そうだね。
きっと、性格が悪かったんだよ。
そうだね。
セント・ニコラスって10回言ってみて。
セントニコラス、セントニコラス・・・・・・。サンタクロース。
サンタクロースっ。いい感じの名前じゃない?
イイね、キャラクターネームとしては秀作だよ。
じゃ、決まりね。
どんなキャラにする?
オッサンでいいんじゃない。セント・ニコラスを文字っただけなんだから。
えぇぇぇっ、オッサン?若いセクシーな女性の方がいいよ。華やかだし。
いい加減、何にでもギャルを使うのはよそうよ。
そうだね。女性人権団体からクレーム来そうだし。
じゃ、オッサンで。
パッとしないね。
ね。
ヒゲでも生やす?
イイね。豪快に生やしといて。
服装も派手にしよう。
イイね。原色系で、黄色か赤かショッキングピンクで。
じゃ赤ね。
セント・ニコラスみたいに、金貨をばら撒くって設定でいいかな。
いゃ、それはちょっと。成金の大富豪みたいでイヤだな。
じゃ、うんこばら撒く?
おぃ、真面目にやれよ。
ゴメン。
子供に贈り物をするってのは?
おぉっ、イイね。冴えてるね。子供を持ち出すあたり、ニクイね。
クリスマスの朝に目覚めると、贈り物が届いている。これで決まりだね。
じゃあ、夜のうちに家に侵入するってこと?
そうだね。
戸締りしてるでしょ、普通。
そうだね。
サンタクロースは、壁とか通り抜けられるって事にする?
馬鹿だなぁ、そう言う非現実的なことは、今時のガキには受けないんだよ。
じゃあ、ピッキングの達人にする?
それは、リアル過ぎるだろ。
煙突はどうよ。煙突から入るの。
イイね。それなら、物凄く自然だよ。
* * * *
まぁ、こんな感じでつくられた訳ではないだろうが、おそらく世界で最も成功したマスコットキャラクターだろう。ミニミニマンとは、格が違う。歴史を辿ると紀元4世紀にまで遡るが、赤い服に白いヒゲと言うスタイルは、近代になってから考えられたものだ。
最近じゃ北欧諸国が集まってサンタについて語り合う「サンタ・サミット」という国際会議まであって、2003年7月の会議では、サンタの出身地はデンマーク領のグリーンランドとすることを決めたらしい。モデルとなったセント・ニコラスはトルコ人なのに。
話は変わるが、日本人がクリスマスに浮き足立つのはどうかと思う。キリスト教徒にとってクリスマスは、救い主キリストがこの世に誕生したことを、感謝し祝うという神聖なものだ。それが、日本人ときたら、子供がおもちゃをねだる日、恋人同士がマロンチックにいちゃつく日にしてしまっている。もしくはケーキを食べる日か。キリストのことなんて、話題にものぼらない。
何が、「メリークリスマスっ。」だ。何が「クリスマスを一人で過ごすのはサミシイ。」だ。
ふざけんなっ。
はっきり言って、かなりイタイ。
かなり馬鹿っぽいです。
知性と教養のある我が家には、クリスマスはないです。マジで。キリストの誕生も、マホメットの誕生も、ヤマトタケルノミコトの誕生も祝いません。関係ないですから。
我が家は、5月22日に産業革命の原点である蒸気機関の誕生を、2月11日には近代文明の父であるトーマス・エジソンの誕生を祝って、御馳走を食べます。
どうだ。カッコいいだろ。
*備考*
社会的影響を考慮し、あえて夏場にこのテーマを考察しました。クリスチャンではない皆様におかれましても、これを機にクリスマスシンドロームから脱却してみてはいかがでしょうか。
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