サンタクロース。
2003/07/29

 
 サンタクロース。
 言わずと知れた、キリストの生誕を祝う、クリスマスという行事の、マスコットキャラクターである。白いヒゲ、赤い服、おもちゃの入った白い袋、トナカイの牽くソリに乗って、クリスマスイヴの夜、子供たちにおもちゃを配る。

 サンタクロースなんて本当は存在しないと知った時のショックは、今も鮮明に覚えている。どおりで、我が家にはヘンテコな贈り物しか届かないわけだ。

 フィンランドとかにはサンタを職業としている人がいるらしいが、あれははっきり言ってタダのコスプレだから。デパートの屋上のガオレンジャーと同じだから。
 サンタクロースは、マスコットキャラクターであって、想像上の生き物。実在した人物がモデルになっているものの、あくまでもキャラクター。

 誰かが考えたんです。

 * * * *

 ねぇ、クリスマスって、キリスト教徒の我々にとっては、最大のイベントだよね。
 そうだね。

 マスコットキャラクターとか、あった方がいいよね。
 そうだね。

 マスコットキャラと言ったら、動物だよね。
 そうだね。
 犬とかどう?
 ちょっとね。
 じゃあ、象は?
 それもちょっとね。

 こんな話知ってる?昔、セント・ニコラスって司祭がさ、貧乏がために娘を嫁に出せない貧しい家に、金貨を投げ込んで助けたって話。
 知ってる。嫁に行けないのは、貧乏のせいだとは思えないけどね。
 そうだね。
 きっと、性格が悪かったんだよ。
 そうだね。

 セント・ニコラスって10回言ってみて。
 セントニコラス、セントニコラス・・・・・・。サンタクロース。
 サンタクロースっ。いい感じの名前じゃない?
 イイね、キャラクターネームとしては秀作だよ。
 じゃ、決まりね。

 どんなキャラにする?
 オッサンでいいんじゃない。セント・ニコラスを文字っただけなんだから。
 えぇぇぇっ、オッサン?若いセクシーな女性の方がいいよ。華やかだし。
 いい加減、何にでもギャルを使うのはよそうよ。
 そうだね。女性人権団体からクレーム来そうだし。
 じゃ、オッサンで。

 パッとしないね。
 ね。
 ヒゲでも生やす?
 イイね。豪快に生やしといて。
 服装も派手にしよう。
 イイね。原色系で、黄色か赤かショッキングピンクで。
 じゃ赤ね。

 セント・ニコラスみたいに、金貨をばら撒くって設定でいいかな。
 いゃ、それはちょっと。成金の大富豪みたいでイヤだな。
 じゃ、うんこばら撒く?
 おぃ、真面目にやれよ。
 ゴメン。
 子供に贈り物をするってのは?
 おぉっ、イイね。冴えてるね。子供を持ち出すあたり、ニクイね。
 クリスマスの朝に目覚めると、贈り物が届いている。これで決まりだね。

 じゃあ、夜のうちに家に侵入するってこと?
 そうだね。
 戸締りしてるでしょ、普通。
 そうだね。
 サンタクロースは、壁とか通り抜けられるって事にする?
 馬鹿だなぁ、そう言う非現実的なことは、今時のガキには受けないんだよ。
 じゃあ、ピッキングの達人にする?
 それは、リアル過ぎるだろ。
 煙突はどうよ。煙突から入るの。
 イイね。それなら、物凄く自然だよ。

 * * * *

 まぁ、こんな感じでつくられた訳ではないだろうが、おそらく世界で最も成功したマスコットキャラクターだろう。ミニミニマンとは、格が違う。歴史を辿ると紀元4世紀にまで遡るが、赤い服に白いヒゲと言うスタイルは、近代になってから考えられたものだ。
 最近じゃ北欧諸国が集まってサンタについて語り合う「サンタ・サミット」という国際会議まであって、2003年7月の会議では、サンタの出身地はデンマーク領のグリーンランドとすることを決めたらしい。モデルとなったセント・ニコラスはトルコ人なのに。

 話は変わるが、日本人がクリスマスに浮き足立つのはどうかと思う。キリスト教徒にとってクリスマスは、救い主キリストがこの世に誕生したことを、感謝し祝うという神聖なものだ。それが、日本人ときたら、子供がおもちゃをねだる日、恋人同士がマロンチックにいちゃつく日にしてしまっている。もしくはケーキを食べる日か。キリストのことなんて、話題にものぼらない。
 何が、「メリークリスマスっ。」だ。何が「クリスマスを一人で過ごすのはサミシイ。」だ。
 ふざけんなっ。
 はっきり言って、かなりイタイ。
 かなり馬鹿っぽいです。

 知性と教養のある我が家には、クリスマスはないです。マジで。キリストの誕生も、マホメットの誕生も、ヤマトタケルノミコトの誕生も祝いません。関係ないですから。
 我が家は、5月22日に産業革命の原点である蒸気機関の誕生を、2月11日には近代文明の父であるトーマス・エジソンの誕生を祝って、御馳走を食べます。

 どうだ。カッコいいだろ。

*備考*
 社会的影響を考慮し、あえて夏場にこのテーマを考察しました。クリスチャンではない皆様におかれましても、これを機にクリスマスシンドロームから脱却してみてはいかがでしょうか。 

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