変身願望。
2003/07/08

 
 変身願望。

 欲求が満たされない日常において、生じたストレスから逃避するために、自分とは違う何かに変身したい、という願望である。この願望が屈折して強く現れると、女装したり、コスプレに走ったり、セーラー服おじさんになったりする訳だ。

 この変身願望、誰もが潜在的に持っている欲求だと言われている。

 本当かよ。
 じゃあ、オレにも変身願望があるって言うこと?
 確かに、猫のヒゲをほっぺたにマジックで描いて、きゃあきゃあ言って遊ぶことがあるが。
 いい年した大人が、ほっぺたに猫のヒゲを描いて遊ぶなんて、若い諸君は幻滅しているだろうが、大人なんて所詮こんなものである。参ったか。がはははは。

 で、変身願望だ。猫ヒゲごっこが変身願望かと言えば、それはちょっと違う気がする。

 今回は、潜在的に深層心理にある変身願望を探ってみよう。オレは何に変身したいのか。

 うーむ。別に変身したくないけどな。

 とりあえず、自動改札機にでも変身してみるか。
 切符とか、定期券を口からパクッと食べて、お尻からプリッと出す。
 次から次へとパクッ、プリッ。

 セクシーなOLのお姉さんも、オレがパクッ、プリッとやった定期券を大切にカバンに入れ電車に乗る。サラリーマンのおっさんも、女子高生も、年よりも、子供も、オレがパクッ、プリッとやった切符や定期券を握り締めて電車に乗る訳だ。
 がはははは。自動改札機って楽しい。
 パクッ、プリッ。

 自動販売機も面白そうだ。缶ジュースの自動販売機。
 コインをパクッと食べて、ボタンを押してもらう。「いゃん。」ボタンは乳首だから。で、お尻から缶ジュースをポコッと出す。
 パクッ、いゃん、ポコッ。
 オレのお尻から、ポコッと出たジュースを、みんな美味そうに飲む。ゴクゴクゴク。
 時々、注文とは違うものを出してみたりして。冷たいコーラの注文に、熱いポカリスウェットを出す。いゃ、こんなのでは面白くない、生きてるアメリカザリガニとか出しみたり。
 「きゃぁっっっっっ。」
 ぐふふふ。あははは。自動販売機も楽しいっ。

 知りませんでした。変身がこんなに楽しいとは。セーラー服おじさん、今まで馬鹿にしてゴメンなさい。今日からオレも変身に目覚めます。

 駅で、ひときわ光り輝く自動改札機があったら、オレだから。
 パクッ、プリッ。
 

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