ウォークマン。
これは登録商標である。つまり、商品名である。
ウォークマンは、ソニーのポータブル音楽再生機のみに与えられた名前であり、他のメーカーの同じような商品は、この名を名乗ってはいけない。しかし、一般的には、ポータブル音楽再生機のことを総称して、ウォークマンと呼んでいる。
つまり、一商品名が、一つのカテゴリーの代名詞として使われている訳だ。
すごい知名度だ。ものすごいことだと思う。
ウォークマン以外にも、シャープペンシル、セロテープ、ジープ、シャチハタなど、商品名が、そのカテゴリーの代名詞になっているものがある。
そんな人間に私はなりたい。
つまり、あるカテゴリーを代表する存在になりたいのだ。
発明家の代名詞のエジソン、ボクサーの代名詞ロッキーみたいな。色男の代名詞、イトウケンジ。こんな感じで。
殴られそうなので、色男の代名詞は辞退するよ。
とりあえず、汁の代名詞にでもなってみるか。
みそイトウケンジ。
青イトウケンジ。
すましイトウケンジ。
しじみイトウケンジ。
なめこイトウケンジ。
肉イトウケンジの滴り落ちる、ステーキ。
果イトウケンジ100%のフレッシュジュース。
イトウケンジが垂れる。
「イトウケンジが垂れるから、スイカは新聞紙の上で食べなさいっ。」
イトウケンジをなめる。
「桃を切ったら果イトウケンジが垂れてきた。なめちゃおっ。」
イトウケンジをすする。
「行儀が悪いから、イトウケンジを音をたててすすらないで。」
イトウケンジが飛び出す。
「ニキビつぶしたら、プチっとイトウケンジが飛び出した。」
イトウケンジが染み出す。
「かさぶた無理やり剥がしたら、黄色いイトウケンジが染み出してきた。」
イトウケンジが出る。
「毛虫踏んづけたら、中から黄緑色のイトウケンジが出てきたぁぁぁ。」
ごめんなさい。やっぱり、汁はイヤです。
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