イヤッホーと、声に出してみた。小さな声で。
いまいちピンと来なかったので、一オクターブほど音程を上げ、もっと大きな声で言ってみた。イヤッホー。イヤッホー。イヤッホー。
いい感じなので、思い切り大きな声で、イヤッホー。
楽しい。
嘘だと思うなら、あなたもやってみなさい。
元気よく、大きな声でイヤッホー。うまく出来なくても、二、三回もやれば上手になるから。絶対にハマるから。イヤッホー。
子供の勉強の方法として、声に出して文章を読むと、学習効率が飛躍的にあがるという。国語だけでなく、どんな教科でも声に出して文字を読むことが有効とのこと。とりわけ、数学は効果が高いそうだ。
考えてみれば、言葉は音だ。サウンドだ。文字はその音を記録するための記号に過ぎない。言葉を、本来のあるべき姿、サウンドに変換してやることで、脳へのアクセスはよくなる訳だ。声を出すこと。言葉を声にすること。これは我々が想像する以上に、脳へ良い刺激があるということだ。
だから。
大きな声で言ってみよう。イヤッホー。
意味が無いのに楽しい。なんだか心がウキウキしてくる。気分が高揚してくる。自然と笑顔になってくる。
イヤッホー、イヤッホー、イヤッホー。
何度も言っていたら、自然と体が動き出した。イヤッホーと言いながら、両手を上に突き出している。今度は思わず立ち上がってイヤッホー。うぉぅ。楽しいぜ。イヤッホーと言いながらジャンプしてみる。たまらない。楽しすぎる。家中を、飛び跳ねながら走り回り、イヤッホー、イヤッホー、イヤッホー。
もう誰もオレを止められない。
愛する妻にも勧めてみる。楽しいからやってみな。
しぶしぶ、妻もイヤッホー。すかさずオレが激を入れる。
もっと元気よくやらないとダメだ。
イヤッホー。
「あら、楽しい。」
妻の顔がほころんだ。イヤッホー。あはは、楽しいじゃん、これ。
夫婦二人で、家中を飛び跳ねながら、走り回りながら、
イヤッホー、イヤッホー、イヤッホー。
なんて頭の悪い夫婦なんだ。
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