スペインに、こんな変わった商売がある。
闘牛士の格好で借金の回収をすると言う業者だ。闘牛士の格好は、随分目立つらしく、そんな恥かしい姿で家の近所をうろつかれてはかなわない、ということで借金返済を渋っていた人も返済するらしい。ピンクパンサーのぬいぐるみを着て、借金回収する業者もあったらしいが、暑くて体がもたずに、廃業したらしいが、回収率は抜群だったらしい。
そうか、その手があったのか。
相手に威圧を与える方法として、こんな素晴らしい方法があったのだ。これは、様々な問題解決の方法として、かなり使える。闘牛士のユニホームは、日本では手に入りにくいし、随分高そうなのだが、それは重要な問題ではない。
要は、奇抜なコスチュームで相手を威圧できればいいのだ。
ここは、全身タイツで代用することにしよう。
全身タイツなら安価に入手できるし、携帯性に優れている。夏場でなければ、全身タイツの上から通常の服を着ていれば、社会生活にも支障はない。いざと言う時は、服を脱ぐだけでいいのだ。
シルバーシートを大きな態度で占領している、くそ生意気な若者がいた時は、全身タイツをまとい、無言でその前に立つ。これだけで間違いなく問題は解決する。電車の中で大声で携帯電話を使っている奴がいれば、そいつの前で「シーっ」と人差し指を口に当てるだけでいい。無視された場合は、そっとほっぺたをなでてやろう。
道で、チーマーに絡まれた時には、すばやく着替えて、
「ぬぉあーっ」と太い声で奇声をあげ、その場でぴょんぴょん飛び跳ねてみよう。
間違いなく、奴らは逃げ出す。
何年かぶりに突然連絡をとってきた、たいして仲もよくなかった中学時代の友人に、マルチまがいの詐欺商法にしつこく誘われた時には、全身タイツに着替えて「静かな湖畔」の輪唱を相手に求めよう。これで相手はあきらめるはずである。
けんかの仲裁。万引きの説教。部下を叱る時。決闘の時。学級崩壊した小学校の先生。
様々な威圧を必要とする場面で、おもむろに全身タイツに着替えよう。
あなたの迫力に、すべての人はひれ伏し、問題はスムースに解決するはずである。
他に、セーラームーンのコスプレと言う手もある。
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